南蔵院

スケッチ

瑠璃光山医王寺

近くを自転車で通りかかって、偶然、赤い二階建ての鐘楼門を見つけた。二階建ても珍しいが、上の階の、吹き放しの鐘楼がユニークでかわいらしい。建築は江戸中期とされ、とても魅かれたので描くことにした。 (2003.2.3)

南蔵院は、山号を瑠璃光山、寺号を医王寺といい、薬師如来を本尊とする、真言宗豊山派のお寺さんである。その昔、南蔵院に伝えられた話がある。

 ある日、南蔵院に薬師像を背負った良弁という僧が来て泊めてほしいと頼んだ。住職は病気だったのでお断りしたところ、この「白龍丸」はどんな病気にも効きますよ試してご覧なさいと勧められた。住職は「白龍丸」のお陰ですっかり回復した。ありがとうございます、おかげで良くなりました。よろしかったらここに留まり一緒に仏教を広めましょうとお願いした。白龍丸が効き目があったこと、その後火災が起きたが薬師像だけは光り輝いて残り、人々の南蔵院への信仰が一層高まったとされる。薬師像(薬師如来)は南蔵院の本尊とされ33年に一度御開帳されるとあったが、現在は不明。

薬師像を背負って南蔵院を訪れた僧は、経典を納めるため諸国の霊場を巡っていた良弁僧都とされるが、東大寺の良弁僧都とは別人であるとされる。また、良弁僧都の秘薬は巷間に売り出していたことも現にそのための広告に用いた版木六枚が寺に蔵せられていて、石神井の道場寺が出していた膏薬の梅黄丸同様、社会奉仕的にも、寺院経済的にも寄与するところは大きかった、と練馬区史、歴史編に書かれている。

当時はまだ医療もままならなかっただろう。感染症や伝染病も流行ったかもしれない。秘薬は大いに人々の関心を引いたに違いない。
南蔵院の境内にある紅梅が美しいというので約1か月後同院を訪れ描いた。

(2003.3.13)

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