椨の木(たぶのき)
長谷寺は、正式には海光山慈昭院長谷寺という。
江の島電鉄長谷駅で降りて徒歩5分。
山門前を通りかかったらなにやら凄いパワーを感じて立ち止まった。
右側に瘤(こぶ)だらけの大きな木がある。ぼくにパワーを感じさせたのはこの木だろうか。
しばしたたずんで木を見上げていた。
長谷寺の十一面観音菩薩に手を合わせ、美しい庭園を見たあと、先ほどの木のところへ戻った。
名前も知らぬこの木が描きたくなった。時計は午後2時を回っている。秋の陽は短い。
通行の邪魔にならぬところに座りスケッチを始めた。
「ほー、描いてますな。」高僧と思われる方が絵を覗かれ微笑まれた。
「あまりに見事な木なのでスケッチさせていただいております。」とぼくはご挨拶した。

徳道上人
天平8年(736年)大和(奈良県)の長谷寺の開基である徳道上人は、大和の山中で見つけた楠の大木から二体の十一面観音像を作り、一体を大和長谷寺に安置、もう一体を祈請の上で海に流した。
15年後、三浦半島に流れ着いた観音像を鎌倉に安置して開いたのが長谷寺であるとされる。
【長谷寺(鎌倉市)2023.5.4(木)14:03 UTC「ウィキペディア日本語版」】
樹齢300年
最近になって、このスケッチを見て、どうしても木の名前が知りたくて長谷寺に連絡させていただき、木ヘンに大阪府の府をかいて椨の木(たぶのき)といい、樹齢300年だと教えてくださった。
椨の木をしらべてみると生育が早く丈夫で丸木舟や高級家具になるという。また、強い木で
横に成長するので、木の下の方のコブコブは通行の邪魔になるから切った跡ではないかと思われる。
鎮魂・鎮守・威厳
椨の木の花言葉を調べたら、「鎮魂」「鎮守」「威厳」とあった。
魂を鎮め、その土地を守り、威厳を持ってそびえ立つ。ぼくは強力なパワーをいただいたことをあらためて感謝した。
あじさい寺としても有名
長谷寺はあじさい寺としても有名である。時期になると見学に行列ができるというから未だに訪れていない。
椨の木の絵を描いたとき、丘の上から葉山方面を見た景色にあじさいの花を添えてみた。
多分こんな美しい光景になるのではと。
長谷寺の椨の木をもう一度仰ぎ見たい。あじさいの季節に。
